― 糖分補給中 ―
[貴方は…と>>360中途で言葉を止められて。不思議そうに、自分より低い位置にある瞳を見つめた。
クレメンスとニコラスに聞かされた、新しいシュヴァルベの話。
それを信じ込んだのは、いい歳をしてその精神面が未成熟だったからに他ならない。
殺人や諜報、破壊活動などの術だけは兄たちをも超えるだけの技量をもちながら。
世間一般のことを殆ど知らない状態でシュヴァルベにやってきて。
当初はぎすぎすしていた空気が、年月とともに平穏そのものになっていくのを見ているうちに。
もし父の手で最後まで鍛えられ育てられていたなら。そんな理想を持つ事はなく。
ただ自らの腕を振るう世界と報酬だけを求め、何かを妄信する事もなく。
もっと違う存在になっていたのだろうけれど。
父の手から解放され、理想を得てしまった事で。
クレメンスの甘言にのせられ、ただそれだけを信じていた。
――けれど]