安心しろ、――なるべく優しくするから。
[>>389硬った表情を見上げ、薬を塗り終え。
しかし感覚が鈍くなれば目を閉じて落ち着いた様を見せるシモンに、
出血さえしていないものの、血の色が見える患部に顔を顰め。
戦地に趣いて十分に傷ついて。
それでも尚、こんな怪我を受けるなんてなんという皮肉か。
病への感染の可能性はあったとしても、
銃弾の飛び交う場所や、獣が彷徨く場所は
避けて過ごしている男と比べてしまえば、
この地で過ごした時は変わらぬ日常を互いに送っていたのに、
彼だけ貧乏くじを引かされている気がして、心が痛む]