― 城内 ―
[ガラ、と瓦礫が崩れた音がした。
金の髪を緩く肩から滑らせ、振り返る先には我が手に掛けた友の姿。
漆黒の鎧に身を包み、朝の迫る城内で巡りあう。>>380
切れ長の双眸を細く変えて、少しだけ口角を引き上げた。]
先ほどぶりだな、バルティ。
君の方が見てくれ正しいなんて、珍しいじゃないか。
[生きた己は装束も汚れ、髪も遊んでいる。
ゆっくりと脚を踏み出し、彼へと距離を削る。]
君は素直だから、直ぐにあちらこちらへと出かけてしまう。
だが、其方も存外悪くなかったようだな?
[彼の顔に発露する感情はいつも読み難い。
だが、何故か今ばかりは、瞬きの間を置くことも無く知れた。
―――まるで拗ねているようだ。]