[大切なもののために死んでくれ、だなんて。人に無関心でいた。その自身が言われるなんてなんという皮肉か。動かない身体。本当は、皆のために、差し出そうという考えも、頭を掠めたことがあった。だけど今は、死にたくない理由が、あって。呼ばれた愛称、それに記憶の蓋が空いたような気がしたけれど、今はもう] ……っ、 嫌、って言っても、無駄っすよね…?[クリーム色のもこもこが、肩で毛を逆立てている。そのときまたくらりと、世界が揺れた。*]