[呆然と見守るしかできぬ中、紅蓮の炎の塊と小さな仔犬は闘う
精霊はこの小さなこどもに真面目にやりあうほどの興味はないらしく、時折雑な攻撃が繰り出されるのみ。仔犬はそれをなんとか避けて、時折小さな口で炎の塊に牙を穿つ。幸い仔犬の口は炎によってはダメージを受けないようだが、身体に掠める炎は黒い毛皮を焦がした]
ポチ!逃げるから!こっち、来なさい!もう、いいから!
[泣きそうな声で仔犬を呼ぼうとするが、自分が離れれば青年が危ないと思っているらしい仔犬は炎から離れようとはしない]
犬族は…わたしの、言うことを、聞くんじゃなかったんですか…っ!