[ファミルにそんな交渉を持ちかけていた最中に、テオドールが姿を現す。それだけで部屋の空気が一変した気がした。威厳といってもいい堅いオーラを纏う人界の魔王に会釈をし、彼がファミルに語りかける内容を黙って聞く。思えば、初めて会ったときも、テオドールはベリアンの名と得るべき称号とを口にしたのだった。自分はあれを心地よいと感じたが、ファミルはどうだろうか──]