[その肉薄の折、双眼鏡を覗いていた幕僚のひとりが、あ、と声を上げる。双眼鏡を手渡してきたので、いぶかりつつも覗いてみた。相手の艦の艦橋に視点を合わせれば、そこに見知った顔を見つける。全身の血が、頭に上ったような気がした。] タクマ・ナギ ───…![激情と共に、奇妙な嬉しさがこみ上げる。彼は、ここに居たのだ。去って行った2艦ではなく。この手で、彼女の無念を晴らすことができる喜び。]