― 城館・ホール ― >>373>>374
[若者は、自身の運命を改めて思い知ったらしい。
その苦悶に同調することはない。
自分にとってその感情は過去のものだ。
同じ苦悩を抱いたかどうかも覚えていない。
しかし、彼がこのままでいれば確実に苛まれるだろう狂おしい飢餓は、理解していた。]
……必要ならば呼べ。
城館から出ない限りは、おまえの自由だ。
[一度、経験させるのも一つの手かと思い直す。
抵抗するとの宣言に、小さく頷きつつ。
呼べ、の言葉から、使用人か誰かをという単語が落ちているのは、相変わらずの言葉足らずだった。]