― 3年前・魔境 ―
構わない。
[時間が掛かる。というローズマリーの言葉には、即座に頷いた。
どちらにせよ、構いようがないのだ。
このまま手を拱いていようとも、いずれ時は尽きる。
ならば打てる手を、打てるだけの力を持って打つだけのことだ。
そうして、彼女の紡ぐ歌を待ち”時”を待った。
細い指先が、風を炎を水を大地をタクトの先に描き出す。
紡がれるのは静かで穏かな変化、奇跡だ。
だからシェットラントは彼女を頼った。
己の術は発動が早く変化は急で…その分、相手の気を引きやすい。
けれど、これならば。彼女の紡ぎ上げる呪歌ならば]