[そして男の亡き後、鷹はその後の王となる少年――”クロドルフ・グラムワーグ”が連れたという。
男の形見のように、王は鷹を大事に扱った。
賢い鷹はそれに応じるように、彼の密書を運び、危機には警告を発し、よく仕えた。
隻腕の男は、自分の名が後世へ伝えられることを望まなかった。>>285
王もまたその希望をよく聞き、一つの祝祭日を作るに留めた。
…だが、自分の命の恩人が人知れず死に、忘れ去られることに、王は小さく胸を痛める。
知られずとも良い。何か、何か彼の生きた証を。
そうして、隻腕の男を象徴する鷹を、王は騎士団の団旗に掲げた。
騎士団旗に賞される英雄、テオドール・バルドの名と物語を知る者は、今はもう誰一人としていない。]*