―回想―
衛生兵!重傷患者を此方へ連れてこい!!
[男は負傷兵の溢れる医務室で戦っていた。
次々に運ばれる患者を前に、いつもの穏和な口調などない。そんな余裕はなかった。
軽傷の者は数の多い衛生兵に治療を任せ、自分は奥で重傷の者を治療する。]
「先生!包帯がありません!!」
手の空いてる元気な奴を走らせろ!!
別部署の奴でも構わん!どんどん使え!!
「先生、この急患です!!」
もうすぐ終わる!!空いてるベッドへ運べ!!
[そう怒鳴り声で指示を飛ばしながら、治療を行っていく。
治しても治してもやってくる負傷兵。
中には治療が間に合わず、最中に消えていく命もあった。]