[人の気配が減った指揮官室で、ひとり海図の上を指で辿りながら作戦の再確認をする。
リオレ島の軍事拠点を占領、もしくは無力化したのち艦隊は北へ、あるいは東へ。
指が辿る先、ストンプ港に触れて暫し留まった。
ストンプの現領主の名を脳裏に呼び出す。
ウェルシュ・ストンプ。
昔、会ったことがあった。もう10年近く前のことだ。
父の船に乗って世界中を回っていた途中、ストンプにも立ち寄った。
ストンプの造船所との取引を求めてのことだったのだろう。
当時の領主との会食にこぎつけ、自分も付いていった先で彼と会ったのだ。]