[そうやって見送ったのには他にも訳がある。シュテルンが考えたいこともあるのだろうということもあるが。この扉を壊すには意志と力。そして足りなければ代償が必要だ。ならば、意志をもって開かぬというならば、シュテルンとどうするか揉めるようになる前に、代償を自身をもって支払えばいい――とあるいは、もう一つの企みをするならば、迂闊なことを表情にも視線にも乗せることなく。広間を後にした]