− ホートン砦 書斎 − >>258>>260
[本棚の上に武具が飾られているのは守備隊長だった者の信条ゆえだろうか。
文武両道とかバランス精神とかいった標語はベリアンには響いてこないものだった。
と、扉の向こうで甘い猫なで声がして、ファミルが訪ねてきたと知れる。
入室を促せば、仲人もかくやというほどの満面の笑みを向けられた。
いかにも急いで駆けつけましたという呼吸と礼節を保った身だしなみ。
かすかに魔力の残り香。
大方、戦場で火事場泥棒をしていたのだろうと予測しつつも、慇懃に出られて悪い気はしない。]