―滅びし星の記憶―
イェンス、ほらここだよー! 離れるなよ迷子になるぞ?
ほらこれ! でっかい貝殻だろ?
おれが見つけてきたんだ!
欲しいか? でもなー、おれも探すのに苦労したからなー。
……何だよ、そんな顔するなよ。
ほら! やるよ!
何せにいちゃんだからな! へへん!
[記憶にあるイェンスは小さい子供だった。
もっとも、当時の俺も小さい子供ではあったが。
トゥランタの人口はごく僅かな限界集落。
純血同士の血族結婚を繰り返していた為子供の数も少なかった。
此れも滅亡の一路を辿っていた要因の一つだったのだろう。]