そういやヨアヒム、お前なんでいきなりこんな事したんだ?
[大方、人狼と言う恐怖に耐え切れなくて発狂したのか。
それとも、やはり彼が人狼と言うものだからだろうか。
どちらにせよ、ヨアヒムの思惑に気づかない男は、
彼が死を恐れているのは間違いないとほぼ決め付けていた。
だから問いかけても、別に返事は期待していなかった。]
ああくそ、腕いてぇし……酒飲みてぇ。
[ヨアヒムの放った一撃は、男の左腕前腕部に一筋の線を作った。
一人では止血が出来ず、傷口からだらだらと流れた血がヨアヒムの服と、床に赤い模様を作る。
いつもの右腕ほどの疼痛よりはマシだが、それでも痛いものは痛い。
その痛みを酒で紛らわせようと、自然と体が欲した。
ロープが届いたのは、その頃か。
男は素直にどいて、食堂の方へと酒を探しに向かった**]