[はぁ…と悴む左手に白い息。宿への道を一人、ゆるゆると歩く。朧に見える道は一面真っ白に染まっていて、――視力の定かでない少女の目には、いくらか眩しい。右手持つのは一本の杖。その用途は、身体を支えるというよりは目の代わりとも。視力に頼ることができない分、耳を澄ます。……あぁ、何処かから薪を割る音が聞こえてくる。]