─ Peace-Addicted ─
[ それは、即ち、の話。 >>365
いつから慣れ親しんでしまったのだろう
生まれてからこの方、あたしは。
特段苦労もせず、大きな争いもない世で
ただ、ただ、日々を暮らしてきた。
祖父に憧れて幼いながらに剣術を習い
時には祖父にも指南されながら
ただ、ただ、日常を生きてきた。
それはなにかを守りたいとか
こういう使命のために働きたいとか
ごめんなさい、そういうのではなくて。
ただ、ただ、祖父への憧憬であったのだ。
光の裏側にある影も
豊かさの隣の貧しさも
あたしは、ただ、見えていなかった。
水面下で動き出す駆け引きも
暗躍も、謀略も、思惑も、計略も。
そんなもの、無い世界だと思いこんで
知らない振りをして。
ねえあたしは
どんだけ馬鹿だったんだろう、って
どこか遠い未来の自分が、語り掛ける *]