― “彼女”の部屋 ―[彼女の孫が彼女の義娘と話そうとした時は焦ったが、その後は黙したままなので、何を思うかは気に留めずに先を急ぐ。やがて、彼女の部屋へと着けば、去った時より呼気が浅くなってしまった想い人へと声をかけ――…] ごめん、遅くなった。 約束通り連れてきたよ。今、皆を呼ぶから少しだけ待ってて。 [間に合ったという事への喜びを浮かべながら、壁にかかった振り子時計を慣れた手付きで操作した。その間は連れてきた彼が、彼女に何を語ろうと、それを阻むことはなく]