[急いで取ってきたものは、ロープと毛布だった。
意識はあるようだが、ディーターによって床に頭を叩きつけられたヨアヒムは動ける状態にないとすぐに分かった。]
大丈夫です、これなら拘束の必要はありません。
[ヨアヒムの頭に響かない程度に、しかし周囲の皆に知らせるようハッキリと告げる。
そしてヨアヒムの体の下に、慎重に毛布を敷いた。]
”ヨアヒム…お前、どうしてよりによってこの方法を選んだんだよ。”
[ゲルトが死ぬ前日から、人狼の出現とそれによる犠牲者の発生、そして当然それに続く処刑を覚悟していたから、ヨアヒムの考えは理解できていない>>362。
ただ、ヨアヒムは”殺されなければ殺される。”という言葉を、身を持って伝えようとしたらしい?と考えながら、それが合っているかどうか聞き出せずに、そっとヨアヒムの前髪を手で漉いた。
それでも他の穏便な手段は選べなかったのかとの思いは消せない。]