[獅子の四足をだらりと伸ばし、人の体を肘掛に預けて寛ぐ魔王の足元には、首輪と鎖に繋がれた黒髪の青年がいる。
伸ばされた獅子の毛並みを梳る彼は、時折恍惚の表情を浮かべていた。
玉座の前の広間では夢魔たちが群れ集い踊りさざめき、連れてこられる人間に群がっては嬌態を見せている。
その狂宴の間を縫って近寄ってきた一匹の魔が、魔王になにやらを告げた。]
余の世界紛れ込んだものを、連れ出しに来たものたちがいる、と。
面白い。
[魔王の哄笑は雷の轟きを思わせる。
こんな笑い方をしたあとどんなことが起こるか、側近くのものらはよくわかっていた。]