私などの安否を気にする必要はありませんよ。
貴殿の方こそ、そろそろ甘露は受け入れられましたか。
[自嘲と皮肉を混ぜ込んだ声音を、ジークムントへと投げかける。
彼が吸血を躊躇していることは知っていたが、それを心配するような間柄でもなく、配慮するような優しさも持ち合わせていなかった。]
ちょうど乾杯をしていたところだったのです。
貴殿も共にいかがですかな。
[彼の手にはまだ、ヴィンセントに渡されたグラスはあっただろうか。
なければ影がグラスを差し出すだろう。
深い赤を視線で示し、あくまで穏やかに目を細める。]