――私は止まったままの神の尖兵に近寄り、刺さった槍を引き抜いた。
穂先はコスト相応に使い物にならなくなっており、再利用は無理だろう。
柄のほうは木材として使うぐらいはできるかもしれない――とりあえず箱のなかへ収納。
結わえていた白銀さまは砂埃を払い落としてから、これも箱の中へ――と思ったけれども、プロモーション用途なので箱の外の見えやすい位置につけた。
…………シンボルマークというか大旦那様と白銀さまが並んでいる構図ってどうなんだろう。
箱を背負ってしばらく移動。
村だろうか、人がいそうな場所に辿り着き、やっと落ち着けると思って――とても大事なことを思い出した。
一緒にいるであろうハンスに言わなければいけないことがある。
この村にいて訪れた私を見つけた人に言わなければいけないことがある。
「 いらっしゃいませー! 」**