[パンはそろそろ焼けた頃。これで暫くは持つだろう。ヨアヒムのスープはどうだったか。食堂にパンを並べ終え、何を思うか宿をふらりと歩く。ゲルトの部屋で弔いが行われていた事は知っていたが、遠巻きに見つめるだけだった。] 生き物は牙を立てれば血を流すし、いつかは死ぬものさ。[誰にも気付かれぬように呟くと、興味を失ったようにその場を後にする。それに苦言を呈されたって、悲しい場所とは合わないと言い逃げるつもりだった。]