泣いてもいいわよ。
……涙はね、どんどん出すの。
そうしたらね、きっといつか……
自然に笑えるようになるわ。
……もう、大丈夫だからね。
[そう言って、にっこり笑う。
大丈夫、ここなら、この"船の中"なら、私が守ってあげられる。
馬鹿みたいに高い階級は、こういうときに、使うものだ。
まさか目の前の少女がル・ウルタールの第一位王位継承者の双子の妹サーラであるなどとは知らなかったから。
傲慢にも、そんなことを思っていて……。
彼女の涙が止まったら、花でも見せてあげようか。
それまでは彼女に寄り添って、嫌がられなければ、その柔らかい髪をなでながら。
滴る涙を、指先でそっと拭った。]
[しかし、その涙がようやく止まりそうになったとき……店の外がざわざわと騒がしくなる。
栽培施設に入ろうとする輩は、ジョニーにお仕置きをお願いしているが……それは少女は知らないことで。
何を思ったのかざぁっと、顔を青ざめさせて
『ごめんなさい…』
とその場を離れようとする。
そして、見てしまった……。
あの鮮やかな澄んだ空のような瞳が、諦めきったように、悲しく曇る様を。]