[それは、何年前のことだっただろう。
いつものように、花屋で花を切っていると、一人の少女が駆け込んできたことがあったっけ。>>187
ワンピースを着た、ふわふわと柔らかそうなロングヘアの金髪の少女。]
いらっしゃ……い?
[一応そう声をかけるも、
『 た、助けて……っ! おねがい… 』
と、涙に濡れた目>>188で、背後を気にしながら懇願されては……助けないわけにはいかなかった。
勿論、驚きの方が強かったし、拙い案件じゃないの?と思ったけれど。
その空色の目がはらはらと、どしゃぶりの雨のように、涙に濡れるのどうしても憚られたので。]
こっちに来て!
……そう、こっちよ。
[咄嗟に彼女の手を引っ張って、店の奥手に続く、花の栽培施設の方に連れて行き、匿おうとする。
花屋に人がいなくても、ジョニーが相手をするから、不審に思われることはない。
ようやく一息つける段になり、彼女が裸足であることに気付いた。>>188
(どこからか逃げ出してきたのかしら?)
奴隷であったり、実験体であったり、皆何かしらの事情を抱えている。
かくいう自分もそうであったため、問い詰めたりはすることなく。]