[港にて、連続無釣果の記録を伸ばしているところへ、声を掛けられたことがあった。
ロー・シェン・リーミン代将。当時は中佐か少佐だったような気もするが、通りすがりの彼に「魚より兵の扱いの方が得意だ」などと言われてしまったのだ。
その時は、兵には言葉が通じますからね、と返したものだったが。
揶揄でもお世辞でもなく、なんと言ったらいいのか、納得されたような温かい目で見られたようななんとも言えない感覚を覚えたものだ。
そういえば、彼も自分たちの親くらいの世代なのだった。
自分の見ていない激戦を肌で感じてきたのだろうと思えば神妙な心持にもなる。
オルヴァル。彼に属する名を一つ呟いて、暫し心を過去に飛ばした。]