……あ、あなたは…。
[疚しい考え>>378を悟られたのかと思って焦ったけど、そうではなさそうだ。
王宮の警護団に所属していた時に、何度か顔を合わせて言葉を交わしたことがある。
彼はなんといっても、共に連れている鷹が目印だ。
問われた内容に、目を大きく瞬いてから、ようやく緊張を解いて笑顔を浮かべる]
戻って来たのではなく、お使いよ。
王宮の方への書を預かって来たの。さっき尋ねた時はお留守だったから、後でもう一度行くわ。
[そして、やはり問われたのは顔の湿布のこと。わたしの表情は苦笑に塗り替わる]
赴任早々失敗したの。
総督の怒りを買って、この様よ。厳しいところと聞いてたけど…───まあまあ、ね。
[この頃のわたしは、彼の素性についておそらく何も知らない。
彼もおそらく、わたしがこの国に居る理由や今の任務に就いている目的も知らないだろう。
この先、…───近い将来に語り合う時期が来るだろうか]