[どれほどそうしていただろうか。かき乱された胸が落ち着けば、のろのろと立ち上がる。どろほど貴重な書があろうと、あるいは宝物があろうと、ここは出ていくべき場所だった。それも、能う限り早急に。書庫を出て探索を始める。しかしすぐに城の複雑さに辟易することとなった。さきほどの書庫に城の見取り図でもなかっただろうか。足を戻しかけたとき、廊下の先に人影を見いだした。]