― 公国前進拠点・会議室 ―
[慌しい召集の場に、無論トールの姿もカサンドラの姿もなかった。
――同時に、ミヒャエルの姿も見えぬことに気づき、瞠目する。
フォルテア大尉。
アリー大尉。
ファロン少尉。
既に馴染みとなった顔ぶれを確認し――或いはその軍服の下の傷を慮りながら、下座、隅へと位置を定める。
浮かない顔のファロン少尉を見かければ、短く声をかけて]
――ご無事でしたか。
[独断により、叱責をうけでもしたのだろうか。
いつも彼女を支えている、熟練兵としての自信の陰は、ひどく薄れているように見えた。]