― 王城・玉座の間 ―[魔王の居城となったジルヴァーナ城は、外観の美しさは変わらぬものの、各所に悪魔的な装飾が付け加えられて威圧的な雰囲気を増していた。凝り性のコボルトたちに装飾を任せたからか、彫刻の数も調度類も増えている。玉座の間には魔王の武威を示すタペストリーが飾られており、玉座もより豪奢《ふかふか》に作り替えられていた。玉座の背もたれに、あのときうっかり永続召喚してしまったコカトリスを止まらせて、魔王はここから日々、配下のものたちに命令を下している。]