[足取りはまだ覚束ないものの、歩くには差しさわりなく。
道中船内の状況を聞かれれば、首をかしげる。>>362
実際状況が分からずに、こう答えるよりほかにない。]
悪いが、俺にもわかってないんだ。
緊急放送があってから、
ずっと避難誘導してただけでさ。
[クレステッドから聞かされた情報――外部からの攻撃については、まだ目撃情報の段階であるのだから、
ガートルードへの報告には添えたが、不明瞭なことを言って客を不安にさせてはいけないと。
笊なりに考えるのは、そのようなこと。
そうして通り過ぎる扉の向こうに、“何か”の影があったとしても、>>377
室内に潜んでいる者の気配など、殊に物音立てずにいるものであるなら、気づくはずもなく。
此方の足音は、歩調を変えることもなく、通り過ぎていったことだろう。]