[ 勿論、要件を必死に絞り出していることも知らないから。
カウンセリングをお願いしますと、告げるつもりであったナネッテ。
通信機のコール音が響く。>>316
内容を聞かないように配慮するつもりで、少し意識したものの。
断片的には、どうしても聞こえてしまうだろう。
勿論、聞こえていない体なので、特に何も問うたりはしないが。
自らに言い聞かせるように、縋るように発された言葉には、僅かに眉間に皺を寄せたのだった。 ]
ここですよ。
私はここまでになってしまいますが、
少しでも心配事が昇華されるといいですね。
では、また、
良い旅になりますように。
[医務室に着けば、一礼して。
旅の行方を祈念して、別れよう。
別れる前の彼の顔は、珈琲をぶちまけたときとは打って変わって、自信を取り戻したような、そんな印象を受けたのだった。>>316 ]