人狼物語−薔薇の下国

297 吸血鬼の脱出ゲーム


夜盲 ジャン

[薄幸の青年は、暫くの微睡に落ちたか。
空色の瞳は、ふと窓より覗く夜空へと向けられる。

"あの日">>316も白月の映える夜だったと言う。
もっとも、自分にはその映像の記憶は無い。

唯、もはや開かぬ瞼を携え、陽炎のように佇んでいた。
眼の奥を焼かれる痛みは、気が狂いそうなほどで。
それでも緋色の涙を流しつつ哂っていたのだから、
とっくに自分は狂っていたのかもしれない]

 "――……貴方は、だぁれ。"

[近づく気配。刹那に世界が反転するような、不思議な感覚。
その涼やかなるも麗しい声を聴いただけで、心は振るえた。
たどたどしく差し伸ばした指先は、闇に溶けて。

与えられた血の悦びに、縋るように身を委ねた。
そして再び色を取り戻した、その瞳が映したのは――。
神聖さすら感じる曇りなき白と、柔らかな金の眸]

(381) 2015/01/30(Fri) 22:25:22

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