――この場合、俺が向こう側ならどうするか。
まず、本拠を捨て、後退する方法。
これは有り得ますが、我が軍にとっては余り警戒する必要はないでしょう。
警戒ラインが常に戻るのみです。
或いは正面突破を避け、別働隊を渡河に回し敵軍を挟撃する、
もしくは陽動を行い、手薄になった正面を精鋭により突破するという手。
こちらは常道であり、大佐の仰る通り充分な川縁の警戒が肝要だと考えます。
――ただ、既に敵が、技官の報告にあった強大兵器の補給を要請していた場合は厄介です。
自軍が巻き込まれないよう策を講じた上での使用は無論のこと。
それに加えて大量の増援を要請し、主力部隊が敵正面を引き受ける一方、遠距離武器にて川向こうの手薄な箇所を殲滅。
馬筏を以て強引に行軍――という手も考えられます。
馬を泳がせる方法は時間も体力も奪い、また、人数も必要とする。
常は矢の的になるだけですが、それらが揃えば不可能ではありませんので。