―― 一粒の、砂のはなし ――[己が地獄の底に、一人、いる。もしかしたら、皆そうなのかもしれないと思うことがある。その苦痛に向かい合うことが出来るのは、きっと己一人。けれど、自身もまた己の地獄の底にいながら、誰かの地獄に、心に触れようとするかのように、手を伸ばす――…苦しみに、心を痛め、手を伸ばすような、そんなひとも、きっといて。 心当たりは、あって。 どうしてだろうね、 いま、思い浮かぶのは、“彼女”の顔だ。]