地下のセラーからかっぱらってきました。
ギィのものかヴィンセント公のものかは知りませんが、一つくらい貰っても問題ないでしょう。
[おそらくきっと、いや確実に年代物のいいワインのコルクを豪快に手で引き抜くと、作法など気にすることなく二つのグラスに注ぐ。
片方を手に取ると天へ掲げ、深い赤を透かして見つめた。]
何だかんだ、私は生き返ってしまいましたよ。
生きていればいいことがあるなんて、戯言だと鼻で笑っていたのですが、"悪くはない"みたいです。
[生と死の狭間、名も知らぬ彼と語らった記憶は、今もこの胸に残っている。
くつりと喉を鳴らして、血の色をした酒をゆるりと揺らした。]