― いつかの日・客間 ―[先の戦いで壊れた城は、少しずつ元の形を取り戻していった。――否、元の形と言うには憚られるような改造を施された。シメオンとあの男が戦ったという客間もまた、無駄なオブジェや凹凸が、ギィ曰く芸術的に配置されている。] こういったものはよく分かりません。[芸術などという高尚な趣味が分からない男は、絨毯を踏みしめながら渋面を作ると、その上に直接腰かけた。手にはワインが一本と、グラスが二つ握られている。]