私は――
[開いた口が、言葉を連ねる。
けれど、その最中にぱぁんと花火がなって、静寂はぽかんと口を開いて硬直した。
数秒おいて、肩を震わせ笑い出す]
す、すみません、あまりのタイミングの悪さに、我ながら間抜けで……っ。
[可笑しそうな様子には、先ほど覗いた悪意めいた影は微塵もない。
それでも、壊れてしまったおもちゃのような、歪な何かがその底に沈殿していた]
本当に、すみません。あまり気にしないで。
さぁ、手伝いに戻りましょう?
[柔らかでありながら有無を言わさぬ口調で言うと、静寂はそれっきり話は終わりとばかりにステージへと向かうだろう。
手伝いは、日没の少し前、ヴァイオリンの打ち合わせの時間がはじまるまで続くのである**]