― 回想 ―[気まぐれな純血種と任務を共にしたのはいつだったか。任務上の必要以上に、恣意を感じる人選だった。ちょうど、自分と相手との噂が煩くなってきた頃合いのこと。] ロー。[名を問われての返答は、これ以上ない簡潔さだった。本来の名は捨て、血親に与えられた名だけで過ごしているが、不自由を感じたことは無い。───という反論も口に出す必要を覚えなかったが、直後に続いた真祖の言葉は、あまりにも予想外だった。]