― 3年前・公国 軍務大臣公邸 ―
ほらよ、っと。
オレは軍務大臣本人を殺って来るから、オマエらは陽動よろしく。
[{1}日前に王太子を暗殺した際に、その護衛たちの懐から拝借してきた、公国の銃は(04)丁。
それを、リエヴルから付けられたお目付け役の2人に手渡して、自分は別行動を取ろうとする。
この銃弾と、王太子から護衛官が下賜された紋章入りの銃を残しておけば。
王太子を暗殺された事に対する和平派からの報復かもしれない、と。
ならば王太子を暗殺したのは、帝国ではなく開戦派だったのか、と。事実がどうであれ、和平派はそう思っているのか、と。
そんな疑心暗鬼が、公国内の和平派・開戦派双方に生まれるだろう]
………んだよ。
しょーがねーだろ、アンタらじゃオレについてこれねーし。
守備兵に見つからずに、オレと同じルート走れるか?
[それではお目付け役の任務が果たせないという二人にジト目を向けてそんな言葉を掛ければ、流石に反論は封じれるだろう。
殆ど凹凸の無い壁も道具なしで走り登るような芸当が出来る人材は、流石にリエヴルの子飼いの精鋭たちにも居ないだろう]