儂がこの砦を預かる、チャールズ・フォスターである。[名乗りを置いて一度言葉を切る。青年を見遣る頭が下がることはない。背筋は伸ばされたまま、けれど一瞬、瞳に懐かしむかの色が過ぎった。音はなく、だから人に知れることもないであろうが。] …、 オクタヴィアス・ノイアー殿。 貴殿の父君は、ラモーラルを変えるに簒奪を用いられた。 穢れた手による服従で、森や平原に住む民は苦しみ、 ラモーラルはかつての光を失った。 ─── 誇り《ひかり》なくして、人はいかに人たり得ようか?