― 闇の魔神が自ら動き出した頃 ―
[エントランスより上の階層で影が揺らいだ]
「あー……闇の御仁も動かれますかぁ。
ぁーぁ、これ、自分にも出番が回るフラグっつーヤツちゃいますか……やれ、面倒な」
[零れ落ちるのは、ぼやくような声]
「とはいえ、しゃーないわなぁ。
自分らが戻る、なんてー、あり得ん事が起こってしもてはなぁ。
まったく、対の御方、ちゃんと仕事してぇな……なぁにのんびりしてはりますの、ホント」
[ぶちぶちと零れ落ちるのは、愚痴。
場の雰囲気にはおおよそ似つかわしくない口調のそれを聞くのは、奇妙な姿の妖魔たちのみ]
「……ま、とりあえずは。
闇の御仁がフラグブレイクしてくれるの、ちょーっとだけでも期待してみましょか」
[やや大げさなため息混じりの言葉と共に、紫色の影が、揺れる。**]