>>357>>359
[「リエブル」の名は記憶に新しい。
広まるきっかけとなった一件もまた。
その“親”に至っては、記憶を辿る必要もない。
距離を置くように佇む彼に見せつける如くに、
滑らかな黒猫の眼尻を頬を、指が這う。
その手付きも、見事な陶器を愛でると何ら変わらず。]
良い仔だ。
出来の悪い我が
[目を細め、揶揄い混じりに芝居がかった大仰に嘆息。
指先は顎の線を伝って下り、首筋へ。
血の脈をそっと押さえ、淫靡なくすぐりを。]
……味見をしても?
[鷹揚に口の端緩め、拒否してもよいと言外に伝える。]