[そこまで言い切って、束の間があってから、漸く俺はその影に詫びた。
向こうこそ言いたい事は多々あっただろうに、黙して聞いてくれたのだから。
それも、1年もあればへろりとしてみせるようになったが。
→ そして時は流れる
外務長官様は、当初その役にはなくとも知っているかもしれない。
この国から馬でも十数日はかかる所にあった国が、凡そ16、7年前に亡くなったという史実か、或いは隣国が何かしら国を落としたらしいという方で把握しているかもしれない。
(俺に、帰る故国なんて、疾うになかったのだ、)
だから、本当は隣国の人と接するべきではなかった、逃げ落ちた、という身の上である以上は。
(だが、俺にそれを識別するような能力もまた、なかったのだ。)]*