―ピアニストの道ー[自分で"ピアニスト"と名乗っていたのはいつまでだったかと。キンキンと不快な音を頭の中に響かせながら、そんなことを思う。血を吐く思いで延々ピアノを弾いたし、思うような音を出せずに腐ったり、自棄になったこともあるが、振り返ってみれば、ピアニストの道としては驚く程に順調だった。……ピアニスト……いや音楽家にとって致命的ともいえる、この症状がでるまでは……。]