へぇ、此処は随分と平和だな。
[それは、初めてこの国に入った時の事。
俺の歳がまだ20を数え始めた頃だった。
─ 回顧/10年程前 ─
この国が平和を享受して、謳歌し始めてから随分経つという、そんな時に、俺はこの国に入った訳だったが。
背後からこそこそと付いてくる影に笑って振り返った。]
おい、辞めてくれないか。
そんなに気になるなら普通に来たらいい。
[その影は暫く悩んだような表情を見せたが、漸く頷くと横に来て言った。
「自分は、貴方の身の上が心配だ」、と。
それを最後に、暫くの無言が続いた。]