― 王都陥落から半月ほど後:王城にて ―
[話を聞くエトヴァルト>>222が伏目がちになっている事を見たのか、僅かに眉を上げるが……話の内容も流れも、淀むことはなく。
そういえば、肩で震えている毛玉はなんなのだろう。これが何なのかは全く推測がつかないが。まあ、それを問うのは今である必要もないかと。
そうして、今度は彼の話>>223を黙して聞く。
話からは、彼の無念や怒り、疑念が自分の事かのように伝わっていた。
それは、彼もまた、かつて強い憎悪に身を委ねた者であるためかもしれない。]
……弱き者が己の弱さを認めず。力を憎んだ。
……ゆえに、お前の父と姉は殺された。
だから、お前は弱さを認めぬ者を憎む。そういうことで、よいな。
[クレステッドは、エトヴァルトの過去の体験を冷徹にそう評価した。
目線を全く逸らす事無く、真剣にエトヴァルトの過去の話を受け入れたこの亡霊を、果たしてエトヴァルトはどう解釈するだろうか]