[覚えているかと問われて頷いた。明るくてきらきらとした目をした青年だった。大きな声で名を名乗り、憧れていますと言ってきた青年は、それは自分を英雄を見るかのような目で見て色んな話を聞かせてくれた。賑やかで元気な青年だった。───恋人がいる。そう聞いたこともある。見ればその時だけは珍しく照れた顔をして、それきり恋人の話を聞いたことはなかったけれども。] ………君だったのか。[低く落とした音を潮風が浚う。]