……あんたら、どこに行くの?[問いかける声音は、少し甲高いもの] この先は、風《ウェントゥス》の領域。 ……不慣れな者は、風に浚われるよ。[古い時代の在り方を残す装いと、肩の上の真白の獣と。そして唐突な現れ方は、来訪者たちに何を思わせたか] 見た所、山の恵みに用事があるわけでもなさそうだし。 ……山の怒りに触れない内に、戻った方がいいよ?[そう呼びかけながら、来訪者に向けられる瞳にあるのは、好奇のいろ。知らぬ存在への畏怖よりも興味が勝るのは、この頃から変わらぬ気質だった。*]